Essays & Music

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片想いのままで

「いい恋をしていますか?」

そう聞かれたら、私は何と答えるのだろう。

振り返れば、私は昔から手の届かない恋ばかりしてきた。小説の主人公だったり、歴史上の人物だったり。あるいは年齢など関係なく、豊かな感性や美しい生き方を持つ人たちだったり。

だから私は、いつも自然と片想いのままで過ごしてきたのかもしれない。

もちろん、自分に好意を寄せてくださる方がいたこともある。けれど、たとえその恋が容易に手に入るものだとしても、自分の心が動かなければ意味がない。それならば、手の届かない相手だとわかっていても、尊敬できる人、憧れる人を好きでいたい。

私はいつも、そちらを選んできた。

時には周囲から「あの人は危ないからやめたほうがいい」と言われるような相手に惹かれることもあった。けれど人を好きになる気持ちは、理屈だけでは説明できないものだと思う。

「片想い」でよかった。

そう思えたのは、人を好きになれたこと自体が幸せだったからだ。誰かを想うことで、自分の中にある純粋な気持ちに気づかされる。見返りを求めることなく、ただ相手の幸せを願う。そんな感情を持てたことが嬉しかった。

ただ、その気持ちを伝えないまま終わってしまうこともある。

人生には別れがある。突然の死によって、二度と想いを伝えられなくなることだってある。

そんなことを考えると、「好きでした」と一言だけでも伝えたほうがいいのではないかと迷うことがある。この想いは伝えるべきなのか。それとも胸の中にしまっておくべきなのか。

もし相手が自由な立場で、こちらも結果を受け入れる覚悟があるのなら、伝えるという選択も素敵なのかもしれない。

既婚者の恋は、「もっとこの人と話したい」という気持ちから始まることが多いような気がする。

最初から恋をしようと思っているわけではない。家庭を壊したいわけでもない。ただ、自分の話をちゃんと聞いてくれる人が欲しかった。
誰にも言えなかった本音を、なぜかその人には話せた。もしかすると、人は誰かに理解されたい生き物なのかもしれない。

恋は、思いもよらないところから静かに入り込んでくる。

好きになることが正しいか間違っているかは別として、その気持ちそのものは止められない。
そして恋をすると、仕事をして、食べて、眠るだけだった日常に少しだけ彩りが生まれる。

朝の景色が違って見えたり、何気ない言葉に心が弾んだりする。恋は人生に潤いを与え、心に張りをもたらしてくれる。

私の場合、相手への深い尊敬がなければ恋にはならない。その人の生き方や考え方、仕事に向き合う姿勢に心を動かされる。外見よりも、感性や人間性といった内面の美しさに惹かれることが多いからなのかもしれない。

だから、この先何かを求めるわけでもなく、関係を変えたいわけでもない。ただ、その人が素敵な人であることへの感謝と好意を胸に抱いていたいだけ。

そう思いながら、出すことのない手紙を書いてみた。


○○さん、いつもありがとうございます。

○○さんの仕事に向き合う姿勢や、豊かな感性を本当に素敵だと思っています。この歳になって、○○さんのような方に出会えたことを心から嬉しく思っています。

気がつけば私は、○○さんのことを人として、一人の女性としても大好きになっていました。自分でも驚くほど、その存在は大きなものになっています。

だからといって、何かを求めているわけではありません。関係を変えたいとも思っていません。ただ、人生の終わりに「あの時伝えればよかった」と後悔したくなかったのです。

私の中にある感謝の気持ちと、大好きだという気持ちだけはお伝えしたくて、この手紙を書きました。

お返事はお気遣いなく。
読んでいただけるだけで十分です。


書き終えたとき、胸がいっぱいになった。きっと、この手紙を渡すことはないだろう。

それでもよかった。

想いを言葉にできただけで、心は少し軽くなったから。これからも、この心地よい距離が続いていくことを願いながら。

私は今日も、片想いのままでいる。


片想いのままでいる
そんな方にこんな曲を…

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