風に立つライオンと父の言葉
映画『風に立つライオン』は、さだまさしの名曲「風に立つライオン」をもとに制作された作品で、アフリカで医療活動に従事する日本人医師の生き方を描いた感動作である。
私はこの曲を初めて聴いたとき、胸の奥を強く揺さぶられるような感動を覚えた。そして、その歌の背景にどのような物語があるのか知りたくなり、どうしても映画を観たいと思って劇場に足を運んだ。
この歌は、アフリカで活動している日本人医師から届いた一通の手紙がきっかけになって生まれたという。
その医師はケニアの病院で働きながら、紛争や貧困の中で苦しむ人々の治療にあたっていた。手紙には、医療設備も十分とは言えず、病気に苦しむ多くの人々がいる現実が綴られていた。それでも「ここで医者として生きていきたい」という強い決意が書かれていたそうである。
その手紙を読んださだまさしは、「この人の生き方を歌にしたい」と思い、取材のためにアフリカを訪れた。そして、その体験をもとに生まれたのが「風に立つライオン」だったという。
アフリカのサバンナでは、強い風が吹き荒れることがある。そんな中でもライオンは堂々と立ち、遠くを見つめている。その姿を見たとき、どんな困難の中でも信念を持って立ち続ける人間の姿が重なったと言われている。
この映画を観ながら、私は何度も「人は何のために生きるのか」という問いを考えさせられた。
「信念を持って立ち続ける人になりたい」
「人は何のために生きるのか」
この二つは、私にとって長い間、心のどこかにあり続ける大きなテーマでもあった。だからこそ、この曲と映画は、私が日々の忙しさの中で少し忘れかけていた大切なものを思い出させてくれたように感じた。
そして「風に立つライオン」を思い浮かべるとき、私の心の中で重なる人物がいる。それは父である。
父は決して体が大きい人ではなかった。しかし、人を圧倒するような気迫を持った人だった。言葉数は多くないのに、その背中からは強い意志のようなものが感じられた。私には、まるで信念のかたまりのような人に思えた。
そのため私は、何か道徳的な判断に迷ったとき、ふとこう考えることがある。
「父だったら、何と言うだろうか」
父が亡くなった今でも、私はそう自分に問いかけている。
「人は何のために生きるのか」。
それはきっと、簡単には答えの出ない永遠のテーマなのだろう。
父は難しい理屈を語る人ではなかった。ただ、よくこう言っていた。
「みんなが、いいようにせないかんぞ」
その言葉には、自分のことだけを考えて生きるのではなく、人のことも思いながら行動しなさいという教えが込められていたのだと思う。飾り気のない言葉だったが、私にとってはとても分かりやすく、そして心に深く残る言葉だった。
どんな困難の中でも、信念を持って立ち続ける人間。そんな人になれたらいい——そう思うとき、私はこの映画の光景を思い出す。
アフリカの広いサバンナで、強い風を受けながらも堂々と立ち続ける一頭のライオンの姿を。そして、その姿は、今も私の心の中で静かに風に立ち続けている。
「風に立つライオン」
一緒に聴いてみましょう!
風に立つライオン-さだまさしオフィシャル
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