チャック・ベリーが流れると
映画『パルプ・フィクション』(1994年)は、クエンティン・タランティーノ監督の代表作として知られている。犯罪を題材にした作品でありながら、緊迫した展開の合間に交わされる何気ない会話が妙に印象に残る。どこかユーモラスで、少しばかりブラックな空気をまとった、不思議な魅力を持つ映画だと思う。
この作品の中で、私の記憶に最も強く残っているのは、ジョン・トラボルタ演じるヴィンセントとユマ・サーマン演じるミアが踊るダンスシーンである。レストランで開かれるダンスコンテストの場面だ。二人が気取らない様子でフロアに出て、ツイストを踊り始める。その光景はどこか軽やかで、見ているこちらまで楽しい気分になってくる。映画史に残る名場面といわれるのも、きっとそのためだろう。
その場面で流れるのが「You Never Can Tell」という曲だ。私はこの曲を以前からよく知っていたが、映画の中で改めて耳にしたとき、その楽しげなリズムに思わず体が動きそうになった。久しぶりに聴くチャック・ベリーの音楽は、やはり心を弾ませる力を持っている。軽快なピアノのリズム、明るいロックンロールの雰囲気、そして自然と踊り出したくなるテンポ。ダンスシーンとの相性は抜群だった。
この映画をきっかけに、チャック・ベリーを知った若い人も少なくないのではないだろうか。ジョン・トラボルタとユマ・サーマンがツイストを踊る姿を見ていると、画面の外にいる私たちまで一緒に踊りたくなってくる。そんな不思議な力を持った場面である。
チャック・ベリーは1926年生まれのアメリカのギタリストでありシンガーだ。ロックンロールの神様とも呼ばれ、後の多くのミュージシャンに大きな影響を与えた人物として知られている。ライブでは「ダックウォーク」という有名なパフォーマンスを披露した。しゃがんだ姿勢のまま、アヒルのように歩きながらギターを弾くあの動きである。ユーモラスでありながら格好よく、観客を楽しませるエンターテイナーでもあったのだ。
「You Never Can Tell」が流れると、自然とツイストを踊りたくなる。実は私はこれまで、社交ダンスも習ったし、フラメンコを習ったこともある。どちらもそれぞれに魅力的な踊りだった。しかし本当のことを言えば、私がいちばん好きなのは、この曲に合わせてツイストを踊ること。
きちんとしたステップでなくても構わない。軽やかなリズムに身を任せて、自由に体を動かす。それだけで楽しい気持ちになれる。私にとっての「踊る」という行為は、まさにチャック・ベリーの曲に合わせてツイストを踊ることなのかもしれない。
それにしても、チャック・ベリーという人は本当にすごいと思う。何十年という時間が過ぎても、その音楽は色あせない。若い人も、そう若くはない年配の人も、みんなを楽しく踊らせてしまうのだから。
もしできることなら、この曲に合わせて一緒にツイストを踊ってくれるようなパートナーを見つけたい。そんなことを思いながら、今日もまた「You Never Can Tell」を聴いてしまうのである。
「You Nevere Can Tell」をご一緒に…
You Never Can Tell-Chuck Berry
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