Essays & Music

⭐︎You Are There

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赤いカーテン

高校時代、私は「この人と卒業したら結婚するのだろう」と疑いもなく思っていた人がいた。
彼は毎朝、通学路で見つけた花を一輪、必ず私に手渡してくれた。名も知らない小さな花の日もあれば、季節を告げる花の日もあった。

彼が学校を休んだ日には、一緒に登校していた友人が「今日は代わりに」と言って、同じように花を摘んできてくれた。

あの頃の私は、もしかすると、人生でいちばん輝いていたのかもしれない。

私は詞を書き、彼が曲をつけた。
放課後の教室や、夕暮れの帰り道で生まれた旋律。いまでも彼がその曲をライブで歌っていると人づてに聞くと、彼の心のどこかに、あの頃の私がまだ住んでいるような気がして、少しだけ胸が熱くなる。

彼の家にも、ときどき遊びに行った。

高齢のご両親で、初めて会ったときは祖父母かと思ったほどでした。お母様はいつも着物姿で、静かな品のある佇まいの人。

ある日、ご家族が留守にしている午後。

なぜか彼が、「かくれんぼをしよう」と言い出した。高校生にもなって、と思いながら、私は和室の中央に吊られたカーテンの中へ身を滑り込ませた。

その内側は、目が眩むほどの深い真紅!

カーテンに囲まれた空間には、白い寝具の整えられたダブルベッドが置かれていた。まるでどこかのラブホテルの一室のようで、場違いな場所に足を踏み入れてしまった気がした。

ふと、大人の世界を想像してしまった自分に戸惑いながら、私はただ立ち尽くしていた。

カーテンが揺れ、彼が私を見つけた。

そして、真紅の光に包まれたその場所で、彼と私は、初めてのキスをしたのでした!

あの赤は、情熱だったのか。
それとも、まだ知らない未来への予兆だったのか。今となってはわからない。ただ、あの瞬間の色だけは、歳月を越えても鮮やかなままだ。

今日お送りするのは、よくご存知の曲。
You Are There

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